「PSA値があがりました。採血上の再発の可能性があります。」
こんなことを言われたら、せっかく放射線治療したのに・・
もしくは、最初の治療がうまくいかなかったじゃないか・・などいろいろなことを考えますよね。しかし、大事なことは最初に書いたようにどのような再発なのかできるだけ正確に評価・把握することが重要です。
PSA再発時の検査について下記に簡単にまとめてみます。
① 画像検査・・転移がないか評価します。一般的にはCT検査や骨シンチグラフィー検査を行い、遠隔転移がないか検索を行います。最近では、全身MRI検査(Whole body MRI)検査も行われる場合があります。海外においては、PSMA PET検査等が可能です。偽陽性の可能性もありますがより検出感度といわれています。
② 前立腺MRI検査・・前立腺内部に、再発もしくは残存病変がないか評価するためにMultiparametric MRI (mpMRI)といった前立腺のMRI検査が行われます。注意は、一般的に放射線治療後の前立腺内部の再発がんのほうがMRIでの所見がでにくくなる場合があります。より正確な評価として下記に述べる前立腺生検も重要です。
③ 前立腺針生検・・前立腺内部の再発(局所再発)の有無を確認するために、MRIと同様に前立腺針生検を行います。前立腺全体の癌の再発を把握するために、全体の生検(Saturation 生検)が必要となります。MRIで異常所見を認める場合は、その部位に対する標的生検(Targeted biopsy)を行う場合が多いです。なぜなら、その部位に最も悪い癌の再発を認める場合が多いからです。最近では、MRIとエコー(Ultrasounds:US)を用いてその画像を癒合させて標的生検を行うMRI/US癒合標的生検が行われます。
日本においては、MRI/US癒合標的生検は、現在、先進医療として行われています。
・画像および生検検査などから総合的に評価します。
簡単にまとめると、
・前立腺の中にがん細胞がある
・ほかのところにがん細胞がある
・画像・生検では、がん細胞がある場所がはっきりしない(おそらくは前立腺周囲、ミクロの細胞による)
それぞれによって治療の方針が変わってきます
放射線治療後の局所再発前立腺がんの克服を目指す
・ある友人から自分の専門外のがんの相談を受けた。色々話している時に、ふと思った。患者さんは、短い外来時間で、がんの病態、治療、十分理解できていないのではないか。自分は、その夜、一人反省した。 ・私のひとつの専門領域である放射線治療後の再発前立腺がんの話にはなるが、この内容でお困りの患者さんの不安が少しでも改善し、病院で主治医と有意義な外来診察および相談の時間を過ごせるようになれば幸いである。
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